介護や福祉の現場で働いていると、常に隣り合わせにあるのが「感染症リスク」です。特に、抵抗力の弱い高齢者や障がい者の方々と密に接する業務において、職員自身の体調管理や、家族が発症した際の初期対応は非常に重要な意味を持ちます。
今回は、障害者施設に通う次男がインフルエンザを発症し、自身も感染が疑われた際、私がデイサービスの「お風呂介助業務」を急遽欠勤させてもらった実体験をベースに、福祉職が取るべき危機管理と職場への連絡マナーについて解説します。
--- ## 1. 次男の発熱から自身のインフルエンザ発症まで
それは11月28日(金)の朝のことでした。次男が39.7℃の突然の高熱を出し、インフルエンザの発症が確認されました。実は同日の朝、私自身も「少し痰(たん)が絡むな、風邪気味かな」と感じていたところだったのです。
念のため自分の熱を測ってみると、体温は37.2℃。この時点で「あぁ、これはインフルエンザがうつってしまったな」と確信しました。
というのも、前の晩にいつものように膝の上に次男を乗せてスキンシップをとっていたからです。家族間の愛情ある触れ合いですから、こればかりは仕方がありません。また、そのわずか1ヶ月前の10月には、新型コロナウイルスにも感染したばかりでした。次男が通う障害者施設では、利用者全員がマスクを正しく着用し続けることが難しいため、どうしても施設内での感染が広がりやすく、それが家庭内に持ち込まれるリスクは常に高いのが現状です。
その後、私の体温は以下のように推移していきました。
- 11月28日(金): 最高体温 38.0℃(発症初日の違和感)
- 11月29日(土): 最高体温 39.0℃(本格的な高熱と倦怠感)
--- ## 2. 福祉・介護職が「絶対にうつさない」ために取った2つの行動
自分が「感染している可能性が高い」と判断した瞬間、最優先すべきは「自分が媒介者となって周囲に感染を広げないこと」です。私が迅速に行った2つの判断をご紹介します。
① 介護現場(デイサービス)への即時連絡と欠勤要請
私自身、アルバイトとしてデイサービスでお風呂介助業務を担当していました。入浴介助は利用者様と至近距離で長時間接触する、いわば超濃厚接触の業務です。もしインフルエンザウイルスを持ったまま出勤すれば、高齢の利用者様に確実にうつしてしまいます。
勤務予定だった12月1日(月)と12月4日(木)の欠勤をお願いするため、すぐに施設へ電話を入れました。結果として、次の勤務を12月8日(月)まで空けることで、ウイルスの排出期間を完全にカバーするシフト調整を行いました。
② 家庭内のセーフティネット(高齢の母の通院変更)
また、12月2日(火)には実母をかかりつけ医に連れて行く予約が入っていました。しかし、自分が感染源になるわけにはいかないため、すぐに病院へ電話を入れて事情を説明し、予約を5日(金)へと変更してもらいました。自分だけでなく、高齢の家族を守るためのルート変更も重要です。
--- ## 3. 現場を守るための職場連絡とマナー
感染症による急な欠勤は、現場のシフトに大きな負担をかけます。しかし、介護職としての倫理観を考えれば「休むことこそが最大の責任」です。職場で不要な摩擦を生まないためのポイントを整理しました。
| ポイント | 具体的なアクションとメリット |
|---|---|
| スピード第一で連絡 | 「インフルエンザの疑い(または確定)」が出た時点で即座に連絡します。管理者が代替スタッフ(ヘルプ)を探す時間を1分でも長く確保するためです。 |
| 復職可能日の目安を伝える | 医師の診断や、厚生労働省が定める「発症後5日、かつ解熱後2日(高齢者は3日)」の基準を基に、いつから出勤できるかの目処を明確に伝えます。 |
| 自分の体調だけでなく家族の状況も共有 | 家族が発症している場合、自身が濃厚接触者として潜伏期間にある可能性を含めて報告すると、現場側も先を見据えたシフトを組みやすくなります。 |
私が電話を入れた際、デイサービスの施設長さんは非常に冷静な口調で、私の体調を気遣いつつ休みの対応を即決して下さいました。まだ若い施設長さんですが、その迅速でブレない判断力には本当に敬服しました。日頃から信頼関係が築けていれば、現場は必ず守ってくれます。
【心が軽くなる考え方】「またか!」と思われても、これでいいのだ!
急な欠勤により、現場の職員さんからは一瞬「またか!」というため息交じりの声があがるかもしれません。しかし、介護職が無理をして出勤し、施設内でクラスター(集団感染)を引き起こすことに比べれば、1人がしっかり休むリスクなど微々たるものです。「利用者様と仲間を守るために、私は今、プロとして正しい選択をしている」と胸を張ってください。
--- ## まとめ:勇気を持った「休む決断」が介護現場を救う
家族内にケアが必要な障がい者や高齢者がいる場合、どれだけ対策をしていても感染を100%防ぐことは不可能です。大切なのは、感染してしまったその後の行動です。
特に介護・福祉の現場においては、「体調に異変を感じたら、勇気を持ってすぐに休むこと」が、結果として施設や利用者様を最悪の事態から救うことにつながります。体調不良の波が押し寄せたときは、まずはご自身の回復と家族のケアに専念し、万全の状態で現場へ復帰しましょう。
※本記事は個人の体験に基づく危機管理事例です。実際のインフルエンザの診断や出勤停止期間については、必ず医師の指示や各所属施設の就業規則に従ってください。